Dome Lab Journal #003
コズモグラフィー再読
2021年、私はバックミンスター・フラーの『コズモグラフィー』を読んだ。
正確に言うと、読もうとした。
当時の私はFabAcademyを終えたばかりで、デジタルファブリケーションや3D設計の可能性に大きな刺激を受けていた。
フラードームにも強く惹かれていた。
だから、その思想の背景を知りたいと思った。
その先にあったのが『コズモグラフィー』だった。

しかし正直に言えば、難しかった。
何度も同じページを読み返した。
重要そうな箇所に線を引き、
自分なりにまとめも作った。
それでも完全には理解できなかった。
むしろ、
「自分は何を読んでいるのだろう」
と思うことの方が多かった。
それから数年が過ぎた。
私は大工としての経験を振り返り、
不動産業を始め、
AIという新しい技術とも出会った。
そして最近になって、再び本棚から『コズモグラフィー』を取り出した。
不思議なことに、
以前より少しだけ読めるようになっていた。
もちろん、すべてを理解できたわけではない。
今でも難しい。
しかし以前とは違う感覚がある。
若い頃の私は、
答えを求めて本を読んでいた。
今の私は、
問いを探すために本を読んでいる。
フラーは単なる建築家ではなかった。
発明家であり、
思想家であり、
地球全体を一つのシステムとして見ようとしていた人だった。
彼の文章が難しいのは、
建築だけを書いているのではないからだと思う。
人間とは何か。
地球とは何か。
宇宙とは何か。
そうした大きな問いを扱っている。
私はまだシナジェティクスを理解したとは言えない。
コズモグラフィーも完全には分からない。
しかし今は、それで良いと思っている。
理解できないからこそ面白い。
理解できないからこそ探究が続く。
AIの進化によって、
これからはフラーの思想を別の角度から読み解くこともできるだろう。
かつて一人では理解できなかったことも、
対話しながら考えることができる時代になった。
私はその可能性にも興味を持っている。
振り返れば、
ドームとの出会いも、
SketchUpとの出会いも、
そして『コズモグラフィー』との出会いも、
すべて同じ道の途中にあった。
それは建築を学ぶ道ではなく、
世界の見方を学ぶ道だったのかもしれない。
Dome Labは、
その終わらない探究の記録である。
